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終わりのないたのしいバンド──CENTRALインタビュー (2)

ALBUM “Flor De Roble”

クラブ・シーンにもっとも近いと言われる、日本屈指のサルサ・バンド “CENTRAL(セントラル)”。キング・オブ・ラテン・ソウルこと”JOE BATAAN(ジョー・バターン)”来日公演時のサポートメンバーとしてや、シンガーの”なかの綾”とのコラボレーションなど、昨今めまぐるしい活躍で、その存在を確実なものにしてきた。

メンバーは、西岡 ヒデロー(Timbales)、首藤 晃志(A.sax and Flute)、中野 たいじ(Vocal)、及川 浩志(Bongo and Vocal ※現在休み)木戸 豊(Keyboards)、宮内 岳太郎(Trombone)、栗原 健(T.sax and Flute ※休止中)、豊田 “ミルキー” 猛裕(Conga)、南條 レオ(Bass)の9人と、ちょっとした大所帯バンド編成だ。

そんな彼らが、この2024年でバンド結成25周年を迎え、満を持して、まさに待望すぎる待望のアルバムをFlower Recordsより発表する。

今回は、25年の月日を経ても、変わらない彼らに、この25年間の活動を通しての感想とともに、ニューアルバム『Flor De Roble』についてのお話を聞いてみた。

このインタビューは全3回に分けてお届け致します。
第2回目は、いよいよ発売が迫ったアルバム「Flor De Roble」について語っていただいた前編です、それではどうぞ!


前回の記事はこちらより

─勝手に締められちゃった感じですね(笑)。では、ニューアルバム『Flor De Roble』が2024年11月にリリースされるということで、今回のアルバムに関する意気込みといいますか、アルバムについてなどを教えてください。

ヒデロー:今回のアルバムは、Flower Records(フラワーレコーズ)の高宮(永徹)さんに「そろそろアルバム出さないの?」って言われたときに、ボクが「Flower Recordsから出してくださいよ!」って。それで「じゃあ出そう!」みたいな感じで、無理矢理確約を取って出すことになったんです。

個人的には、Music O.A.K.(ミュージック・オーク)の浅井さんとも、なかの綾を通してなんだかんだとお世話になっていたし、そんな話の流れからMusic O.A.K.とFlower Recordsが共同出資して、「アルバムをつくりましょう!」という話になったんですよ。じつに感動的なことでして、高宮さんとは、首藤さんも付き合いが長いんです、レーベルが立ち上がったときからやってますからね。

キャプテン:30年近いんじゃないかな。

ヒデロー:それがいま、セントラルの25周年でアルバムをFlower Recordsから出せるのは、すごく意味のあることなので。「よっしゃー!」って気合いを入れてですね、みんな、なかなかスケジュールが合わないところを無理矢理合わせて、強引なプリプロを敢行したんです。けれど、こんなにリリースまで時間が掛かるとはおもわなかった(笑)。

たいじ:結果ね。

ヒデロー:2024年1月には録ってたから。でも、突貫工事でやったけど、すごく良いアルバムになったと思います。短期集中したから、みんなの良い部分がギュッとつまって。バンドメンバーも家族の事情とか、いろんなことでなかなか来られないとか、歳を取るといろいろ出はじめますが、それでもなんとか結束してつくれた良いアルバムです。

─カヴァー曲とオリジナル曲とが収録されていますが、カヴァーの選曲はどのように進められたんですか?

ヒデロー:日本語のカヴァー曲に関しては、最初から高宮さんに「やって欲しい曲があったらリストアップしてください!」って投げて提案してもらいました。「samurai」はボクが「やりたい!」って。「Pastime Paradise」とか「Was I surprise」は、むかしからボクらのレパートリーだったので。

たいじ:特に基準があったわけではないです。

─オリジナル曲に関しては、どのようにアレンジを作られていったのでしょうか?

ヒデロー:アレンジした人がヘッドラインを決めてきて、ホーンの岳ちゃんにとりあえず書いてもらったりもしていますけれど、だいたい決めてきて「はい!」って。それであーしよ、こーしよって、リハーサルでみんなであーだこーだ言って、ビルドアップしていく感じです。だから、アレンジした人が決めていますね。

─決め撃ちでつくってきてという感じなんですね。

キャプテン:つくってきて、みんなでやってみて、そこから修正していく。微調整したり、広げていったりは、みんなの知恵を借りて、膨らませていく感じです。だから、ひとりで作り込むという感じではなくて、やっぱりメンバーが集まって、いろいろアイデアを出してもらって膨らむというか。持ってきたときとは違う、良い感じになっていくという感じですね。

たいじ:9人いますからね。

ヒデロー:とはいえ、さすがに長年やっているから、頭のなかで「こういうサウンドになるだろうな」って、ある程度予測はできるので、アレンジもやりやすいですよね。岳ちゃんにこの音、首藤さんにこの音を振ったら良い感じになりそうだって。

レオ:日本語カヴァーに関していえば、やっぱりサルサバンドなので、コロ-カンタというコーラスとボーカルの掛け合いみたいなのを「入れたいよね!」という思いがあったので、それが唯一こだわった部分。(横山)剣さんには高宮さん経由で話を通してもらって、調整していただきました。

─本アルバムには、8曲収録されますが、1曲ごとに解説をお願いします。まずは「Pastime Paradise」ですが、これはスティービー・ワンダーのカヴァーですね。

ヒデロー:じゃあ、岳ちゃんお願いします!

岳:ええー(笑)!

ヒデロー:だって、ホーンがかっこいいじゃない!この曲はトロンボーンが一番かっこいいんですよ。

岳:派手だし、ある時期のキラーチューンというか、ライブの核になっていた曲なんです。レンジの高さもあったりとか、展開もわりと目まぐるしかったりもして、とにかく自分もやっていてかっこいいなとおもっていて。でも、「これを吹ける内にはやく録ろう!」って言っていたんです。吹けなくなってからだと難しいから(笑)。それが今回録れたので、ボク的にも「やった!」って感じですね。

ヒデロー:「Pastime Paradise」って、クラブとかに行く人たちのなかでは有名な曲のひとつだし、あのイントロのフレーズが聞こえるだけで、みんな「その曲だ!」ってなるくらい。だから、そこのフレーズだけ拝借して、あとはもうガチサルサに作り替えました。高音がすごくかっこいいやつになればいいなと。

─2曲目が「Was I Surprised」。

キャプテン:これも前からやっていた曲なんですよ。ある程度アレンジはできていたんですけど、ホーンとか構成とかを作り替えて、より華やかになるようなアレンジをしてます。

─今回のレコーディングで変えた部分はあるんですか?

キャプテン:だいたい普段やっているままですね。

ヒデロー:今回のレコーディングで、クリックを使わなかったのは技ありですよね。コレだけは「せーの!」ではじめた曲です、

キャプテン:クリックがいらないくらいみんな体に馴染んでいるから、そのまま録った曲ですね。

たいじ:なぜ、やらなかったのでしょう(笑)?

レオ:じつは、全員、クリックに合わせてできなかったんですよ(笑)。でも、体に染み込みすぎてね。

ヒデロー:むしろできなかったよね。

レオ:ぼくはやりづらかったです(笑)。

─では、「3 Gatos(トレス ガトス)」は?

ヒデロー:これは、不肖私が作詞作曲した曲なんですけれど、コロナ中にヒマだったので、曲でもつくろうとおもって。いまは猫5ひき、犬1匹が家にいるのですが、その時は猫が3匹いまして、その猫を題材につくったというだけです(笑)。

たいじ:「うちの猫、カワイイな!」という曲です。

ヒデロー:それが歌詞にもガンガン入っているから、日本語だとえげつない。だから、全部スペイン語にして、たいじくんが歌ってくれました。でも、スタイルとしては、「あ!この人、ぜったいプエルトリコサルサ好きでしょ!!」って感じのプエルトリコサルサスタイルなんです。

─みなさんは、ヒデローさんが持ってきたときはどうおもわれたのでしょうか?

キャプテン:キュートな曲で、途中で入る女性のコーラスがね、ヒデローさんの奥さんなんですけれど、それが絶妙で。より曲の高域を上げてくれているんです。遊び心があるし、曲としてのワイドがいい。良い曲になっています。

ヒデロー:カワイイ曲だよね。

キャプテン:そうそう!カワイイ曲。

─4曲目は、 アルバムのタイトル曲の「Flor De Roble(フロール・デ・ロブル)」ですね。こちらはインストですが。

ヒデロー:この曲もボクが作ったんですけれど、ただのインスト曲です。インスト曲は今回のアルバムに入れたいと思っていました。インスト曲があるとソロとか、フィーチャーできるし、いいかなって。

ちなみに、Flor (フロール)がスペイン語でフラワーの花で、deはナニナニのの”の”、Robleは樫(カシ)でOAK(オーク)。オークの花というコトで、お世話になったFlower RecordsとMusic O.A.K.という意味だから、そのままアルバムタイトルにしちゃえって。

キャプテン:すごくクールな曲で、ボクも好きなインストです。

─5曲目は「samurai」で、djavan(ジャヴァン)のカヴァーですね。

たいじ:この曲、スペイン語じゃなくてポルトガル語なんですよね。で、演奏自体はサルサで、すごく似ているんですけれど、響きとかがちょっと違ったりするので意外とありそうでない。しかも、それを日本人がやっているというのがね。

ヒデロー:そう!日本人だからアリ!!

たいじ:本物の人からするとけっこう気持ち悪かったりするんだろうねって。なので、その辺を「よくわからない!」って言ってやれるのが、たぶんセントラルなんじゃないかと(笑)。ありそうでないカヴァーだとおもいます。

ヒデロー:大名曲ですからね。

─ブラジリアンAORの名曲ですよね。

たいじ:本当、最高傑作くらいのやつです。

ヒデロー:もちろんボクもそうだけど、大好きな曲なので、それをカヴァーするのって「どうなんだろ?」って思いながらやっていました。

キャプテン:悩むよね。

ヒデロー:高宮さんがプロデューサーでついていたから、「絶対、良いだろ!大丈夫だろ!」って。ダンスミュージックの大物ですから。たいじくんのポルトガル語が「大丈夫かな?」ともおもっていたんですけどね。

たいじ:苦労しました。

レオ:ボクはレコーディングにいなかったんですけれど、出来上がりを聞いて、たいじくん、本当に超頑張ってくれたなって、感謝しました。

たいじ:アレンジが良かったから。

レオ:ボク自身、生まれがそっちなので気になっちゃって。すごく良い仕上がりでうれしいです。

(次回へ続く)

前回の記事はこちらより

取材・文:カネコヒデシ(BonVoyage)
撮影:def130