前回は彼らのフラワーレコーズでの初作品となった”Crazy Love”について、彼らとの出会いからリリースまでの一連のお話を書きましたが、今回も引き続きONEGRAMを取り上げたいと思います。
好調な消化(売れ行きのこと)となった”Crazy Love”でしたが、この時点では先の展開などについて彼らと全く話しておらず、何も決まっていませんでした。
お互いの距離感を測りながらの作業でもあったので当然と言えば当然ですが、バンドの皆さんもその結果には一定の成果を感じてくれたみたいだったのと、折角良い形でシングルを切れたので、あまり時間を空けずに新作をリリースする事が大事だと経験上強く感じていたので、メンバーと簡単な打ち上げ(渋谷の大衆居酒屋で)の時に、このチームで「この先」の展開について提案をしてみました。
皆さんからも「是非に」との返答を頂いたので、早速次のシングルに向けた準備を進めた訳ですが、彼らがストックしているオリジナル曲のデモをひと通り送ってもらいつつ、カバー曲候補も同時に考えたのですが、、
何しろ”Crazy Love”が選曲として強力なカバーだったので、その路線を突き進むとすぐに息切れしちゃいそうな不安感にかられ、カバー候補としては違った視点から選曲する方が良いかなと。
で、散々いろんな曲を聴き直したりしたのですが、ふと以前からトライしてみたかった手法を思い出し、それを採用しようと思いついたのでした。
そのアイデアとは。個人的に大好きなDumpの”NYC Tonight”の手法を参考にしたアイデアで、もともとGG Allinによるパンクの楽曲を、何とも素敵なユル・ディスコに仕上げた絶品でして。
原曲よりもグッとテンポを落として、原曲とは似ても似つかないアレンジ、アプローチでカバーするという手法です。
これをカナダのKatrina and the Wavesによる元気なポップロックの”Walking On Sunshine”をカバーして再現しよう、というものでした。
早速リーダーのヤス君にこのアイデアを提案したところ「面白そう」だという事で、デモ制作に入ってもらいました。
一方でこちらは歌詞を見つけたり、リリース日を決めつつそこまでの制作スケジュール作成、スタジオの手配などを進めました。
また、裏面には単なるインストではなく、何らのフックが欲しいなぁと思っていたのですが、先の45trioの回にも登場したDJ Koco aka Shimokita君にエディットをお願いしようと思いついたんですね。
彼にFlower Recordsとしてエディットをお願いした最初の作品が、このWalking On Sunshineで、後の45trioにも続いていく起点となったのでした。
やがてまさに僕がイメージしていたものに極めて近い形でのデモが上がってきて、予定通りレコーディングへと進み、Koco君のエディットも良い仕上がりで完成しました。
で、この7インチ・シングルを2019年6月に発表したのですが案の定、前作ほどの破壊力はなく、セールス的には楽ではない船出となりました。
(同じ”Walking On Sunshine”でも、このKatrina and the Wavesの方じゃなくて、Central Lineの方をカバーした方がシーン的にフィットしたかなぁ…)などと考えてしまったりしましたね、タイトルにこだわる理由は全くないんですけどね。
しかし、Kocoくん効果だったのか、真相は良く分かりませんが、リリース後も少しずつバックオーダーを頂き、最終的には無事にソールドアウトする事が出来ました。
これはオマケのお話ですが、数年前にヴォーカルのSakkoさんがタイに旅行した際に、現地のお店でミニライヴを行ったそうです。
その時にこの楽曲を歌ったところ、「観覧していたヨーロッパ?オーストラリア?方面からの旅行客の皆さんが一緒に歌ってくれて合唱状態になり、かなり楽しんでくれました!」と。
ここ日本ではアレですが、アチラではかなりポピュラーな楽曲なんだなぁ、と感じたのでした。
そんなONEGRAM、いよいよ明日は新曲の7インチ・アナログがリリースされます。
彼らにとっては約1年ぶりとなる書き下ろし楽曲の”五月雨のあとに”、これがなかなか良い楽曲なので、是非ともみなさんチェックしてみてくださいね!
すでに各音楽配信プラットフォームではお楽しみいただけますので、是非に〜!
(続く)