横山剣と萩野知明、高宮永徹による30周年記念鼎談!ダブルジョイレコーズとフラワーレコーズが設立30周年!ソウル電波で共鳴する男たち(後編)

壁に耳アリ、障子に目アリ、そして人に歴史アリ。

2025年で設立30周年を迎えた、クレイジーケンバンド(以下、CKB)のマネージメントを行うダブルジョイレコーズと、高宮永徹氏率いるフラワーレコーズのふたつのプロダクション。

引き続きダブルジョイレコーズの横山剣氏(CEO)と萩野知明氏(COO)、そしてフラワーレコーズ代表の高宮永徹氏の3人に、過去、現在、そしてコレからの野望などについて、言える範囲でタップリと語っていただいた鼎談の最終回!

前回の記事はこちらより

─お付き合いもついに30年ですね!

横山剣(以下、剣):30年(笑)!

高宮永徹(以下、高宮):気がついたら(笑)。

─高宮さん、30歳の時ですよね。

高宮:29か30の時ですね。

剣:半分(笑)!

高宮:人生の半分です(笑)。

─萩野さんとは35年くらいですか?

高宮:そうです!

剣:もう初期高齢者ですよ(笑)!でも、還暦すぎてこういう風にできているというのはうれしいですよね!興奮します!!

─30年もお付き合いがあって、仕事を一緒にしていない時期があったとしても、こうやってまたやり始めたり。

剣:僕ら(萩野さんと)クールス出身というなかなかややこしいふたりというか(笑)。「なんでそっち方面にいて!」という感じかもしれませんが、実はクールス自体がわりと音楽フリークのグループだったんですよ。フランク(飯田和男)さんもそうですけれど、シティポップとか、MOR(Middle of the Road)が大好きで。世間的イメージとはだいぶ違う。リスナーとしてはすごくセンスの良いグループだったと思います。そういう意外性もあったから僕がメンバーでいれたわけです。ちなみに、最初は僕と萩野くんはスタッフだったんですよね。

─メンバーではなくですか?

剣:3年くらい萩野くんの下で働いていて、ベースの大久保(喜市)さんが辞めたので萩野くんがメンバーに入ることになって。ボーカルのPitpi(ピッピ)さんが、その数年前に辞めていたのですが、ツインボーカルを復活させるってことで僕が入って、ボーカルがふたりになったんです。その後、萩野くんがロカビリーのSANDRA DEEというバンドのレーベルREGENT RECORDSというのを立ち上げてと。そのノウハウがあったので、それをそのままゴッソリ、ダブルジョイレコーズに反映させてというのがはじまりなんですよ。

高宮:それははじめて聞きました!

萩野知明(以下、萩野):それがあっての、高宮くんも来たテイチクのスタジオを安く借りられたという流れです(笑)。

剣:SANDRA DEEのREGENT RECORDSをやっていての前例があったからですね。その頃、萩野くんは洋服屋をやっていて、洋服屋さんのデスクにダブルジョイレコーズって籍を置いていたんです。

高宮:そこから始まったんですか!

剣:最初は、本牧にイタリアンガーデンというのがあったのですが、そこをクレイジーケンシンジケートという名前にして「連絡先はココです!」ってしていたんです。でも、そこに電話をすると「はい!イタリアンガーデンです!!」ってなっちゃうから、みんな切っちゃうんですよ(笑)。

─それは「間違えました!」になりますね(笑)!

剣:それで「WILD DANCER(ワイルドダンサー)」という洋服屋だったんですけれど、そこにダブルジョイレコーズ専用の回線を引いてって、そういう感じでした。

萩野:ちょうどその時に横山剣名義の「GROOVE TRAX(グルーヴトラックス)」というアルバムを作って30周年ね。

高宮:12インチアルバムですね!

萩野:いままた高宮くんにマスタリングをお願いしてアルバムを作っていて。

剣:ドキドキする曲もあったり!

高宮:アレですよね(笑)!

剣:いいっすよね(笑)!

─詳しく書けないです(笑)!

剣:文化としてチョップする感じが、ジャマイカからニューヨークに渡って来たKool Herc(クール・ハーク)のサウンド・システムがルーツにある感じというか、ブロックパーティ的な始まりからすると、そういうジャンクな感じが本当に大事なんですよ(笑)!

─新しいものが生みだされる時のあのゴチャっとした、、、混沌さの部分ですよね(笑)。

剣:文化を継承していかないといけないし、継承することでさらに新しい価値観が生まれますよね。例えば、レアグルーヴというジャンルの聴き方のセンスの部分でいうと、いまの若い世代の人たちがジェームズ・ブラウンとかJB’sを聴いた時に、僕らと響くところが違ったりする場合があって「そこに痺れるんだ!!」みたいな。それもまた僕らに新らしい影響を与えてくれる。若い人と付き合うとそういう発見があったりするんですよ。だから、やはりジジイだけで固まってもダメなんだと思いますよね(笑)。

─自分の感覚を高めたり広めていくというのは、すごく重要なことですよね。

剣:若い世代がいま昭和歌謡を並列で聴くというカルチャーが、アーティスト単位ではなく楽曲単位で好きになるDJの人の聴き方に似ている気がしているんです。例えば、「この曲とこの曲が同じミックステープに入っているの??」という曲とか、あえてギョっとさせるような曲が入っていたりとかする感じですよね。

─いまはサブスクカルチャーなので、どうしても一曲単位で串刺し的な聴き方になってしまっていますよね。流れで聴くようなカルチャーって、いまの若い世代にとってはどんな感じなんでしょうかね。

剣:まれに変わった子がいますよね。若いのに「何歳なの!?」みたいな曲の掘り下げ方をしている(笑)。

高宮:例えば、20代でアナログレコードでDJをやっているような人たちが、「コレをかけるんだ!」みたいなこともありますよね!

剣:「なんで知ってるの??」みたいな(笑)。ジンジャー・ルートみたいなテイストの人もいますし。ちなみに、実はいまコンサート会場も混沌としてたのしいんですよ。そのまま額面通りに受け取る人と、ヒネリをわかってくれる人とが混在していて、それぞれ会話がすごくトンチンカンで噛み合ってない(笑)。そういう混沌さが、エキサイティングな空間になっています。

─カオスなんですね。

剣:大好きですね、カオス(笑)!

─剣さんと高宮さんの中だったり、萩野さんと高宮さんの関係だったりは、良い意味でのカオスがずっとあったんですね。

剣:萩野くんはお酒がいっぱい入るとすごくカオスになりますけれどね(笑)。あの楽しい感じを形にできないかなって。うまく言えないのですが音楽に出来たらいいなと思いってます。すべて遊びの中からの出会いでしたから。古着を買い取ってもらおうと立ち寄ったのがたまたまクールスのお店だったとか、出会い方が全部そういう感じでしたので。

─ちなみに萩野さんと剣さんのお付き合いはどのくらいになるんですか?

剣:最初が1978年からだから。。。

─78年!?

剣:70年代(笑)。僕は17から18になるころで、萩野くんは18か19だったかな。

萩野:19だね。

高宮:『サタデー・ナイト・フィーバー』の時代ですよね(笑)。

剣:トラボルタ(笑)!

萩野:日比谷野音のころだから、78年だよね。

剣:舘ひろしさんがクールスを辞めてからだから。78年って何年前なんだろ、、、47年(笑)!

萩野:47、8年だね。

剣:もうすぐ50年(笑)!

高宮:すごい(笑)!

剣:その時とナニも変わってないです。そのままの感じ(笑)。

萩野:本当だよね!そういう意味では全然大人になっていない(笑)。

剣:しばらく会わずにいきなりいまの萩野くんに会ったら「ずいぶん変わった」と思うかもですが、ずっと一緒にいるから全然お互いに変化がわからないんです。髪の毛だけ薄くなったとか(笑)。

萩野:高宮くんもそのままだよね!

剣:95年から印象が変わってないですね。でも、例えばいまオルガンバーとかでDJをやっている吉永祐介さんが、このところのCKBのジャケットデザインをやってもらっているのですが、そういう音の現場で出会った人たちとずっと関われているのがうれしいですよね。年齢を忘れちゃいますよ!高宮さんが60歳なんて(笑)。

─さて、この30年を振り返っていただきましたが、この30年ひとことでまとめると、、、どうでした(笑)?

剣:混沌(笑)!

高宮:それはまさに僕もそうです!あまりやっていることが変わっていない気がしますね(笑)。

剣:そうですね。

高宮:世の中はずいぶん変わったような気がしますけど。

─萩野さんはいかがですか?

萩野:いや、もうあっという間ですよ!「もうそんなに経っちゃったの!?」って感じ(笑)。

剣:次の30年後って95歳(笑)!ということは、あっという間に95になっちゃう。イヤだなー。メンバーもほぼ半分くらい死んでるかもですね(笑)。

萩野:歳を取ると時間が早く感じるじゃないですか。だから、なおさら何も変わっていないのかも。

剣:助け合っていかないと(笑)!

萩野:体はボロボロだよね(笑)。

剣:しかも、みんな健康的に生きている人ではなく、生活習慣がよくないメンバーですから、長生きするとは思えないです(笑)。高宮さんは健康的ですよね。

高宮:いや!そうでもないです(笑)。

萩野:健康そうに見える!

高宮:ありがとうございます(笑)!でも、今回のアルバムの制作モードに入った時に、ちょうど60歳になったタイミングだったのですが、運動不足になりがちじゃないですか!だから、朝にウォーキングを始めました(笑)。日焼けもしたので、それで健康的に見えるのかもですね。

剣:萩野くんはゴルフをやっているよね。

萩野:カートばっかり乗ってあまり歩いてない(笑)。

高宮:剣さんはワークアウトはやられているんですか?

剣:ジムに行っていたんですけれど、気がついたら一年以上サボってました(笑)!

─この先、どれくらいあるかわかりませんが、今後の野望を教えてください(笑)。

剣:おもしろ、おかしく、たのしく、死ねたらいいなと。

高宮:僕もいまやっていることを「どれだけ続けられるか?」というところだと思うのですが、続けたいですよね!やっぱり。

萩野:僕はもうアレですよ、現状維持(笑)!守りみたいに思うかもしれないけれど、現状維持ができないとキツい。

剣:1年前の倍の努力をしないと進まないというのもありますね。山登りと一緒(笑)!

萩野:いまと同じことをできるようにしていたいですね!

剣:本当、そうなってきますよね。同じ状態でいるってことがどれだけ大変か。

高宮:どんどん落ちていきますからね。

剣:あとはいつ死んでもいいと思えるような毎日にしておかないとですよね。ナニがあるかわからないので。

高宮:それは本当にそうですね。

萩野:身辺整理ね(笑)!

剣:終活ですよ!家族とか残された人たちが路頭に迷わないように!って思うのですが、実は自分のことだけでそれどころじゃないですよね(笑)。

一同:わははは(笑)。

(おわり)

(インタビュー:カネコヒデシ(BonVoyage))

[プロフィール]
・横山 剣(よこやまけん)
クレイジーケンバンド・リーダー/作曲・編曲・作詞・Keyboards・Vocal
小学校低学年の頃より脳内にメロディーが鳴り出し独学で作曲を始める。
1981年クールスRCのヴォーカル兼コンポーザーとしてデビュー。以後、紆余曲折を経て1997年春、地元本牧にてクレイジーケンバンドを発足。2005年に『タイガー&ドラゴン』が同名ドラマの主題歌として大ヒットした。
2025年9月3日には25枚目となる最新アルバム『華麗』をリリースした。

OfficialWeb Site: https://www.crazykenband.com
Instagram: https://www.instagram.com/crazykenband_official
X: https://x.com/CKB_official
Facebook: https://www.facebook.com/CRAZYKENBAND.Official
YouTube: https://www.youtube.com/@ckb

・萩野知明(はぎのともあき)
1959年 東京生まれ
1977年にクールスRCにスタッフとして活動を開始。
1981年よりクールスRCのベーシストとして参加。
1995年には横山剣とともにダブルジョイレコーズを設立。今年30周年を迎える。

CRAZY KEN’S GROOVE TRAX

2025年11/8(土) 発売予定
定価¥4,180(税抜価格¥3,800)

A side
01. 中華街大作戦
02. BELLETT1600GT LUCKEY’S TUNE remixed by Eitetsu Takamiya
03. SUMMER PEOPLE(Remix)Remixed by Motoki Kamihata
04. KROW KAT FUNK

B side
01. THE WORLD OF SUZIE WONG(Coaster’s dub)Remixed by Eitetsu Takamiya
02. THE WORLD OF SUZIE WONG
03. LOVE ROCKET

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