
レゲエをベースとしながらも、つねに独自のスタイルを追求するバンド、ONEGRAM(ワングラム)。
2011年に結成し、ライブやリリースを重ねながら活動を続けている。メンバーは、リーダーのyath(Sax)とSakko(Vo)、Br’z(ブレイズ)(Gt)、Pupty(Dr)、Yabu(Bs)の5人に、レギュラーサポートの鴨居哲也(Key)をくわえた6人編成のバンドだ。ちなみに、演奏はもちろんだが、全員が全員、プロデュースまで出来るという、じつはマルチ・ハイクリエーションバンドだったりする。
そんな彼らが、クラフトワークの「Trans Europe Express」やキリンジの「エイリアンズ」などのカヴァーを収録したカヴァーアルバム『Random Access Music』から約3年、オリジナル曲を中心に発表した『Beginning』からは約5年ぶりとなる、渾身のニューアルバム『THIS IS US』を2025年6月4日にFlower Records(フラワー・レコーズ)からリリースすることとなった。共同プロデューサーにレーベル・プロデューサーの高宮永徹を迎えた本作は、バンドとして10年以上ものキャリアを経て、自分たちの現在地を示した、タイトルどおりの”これが私たちの現在地”的なアルバムとなっている。まさに、現時点での集大成と言っても過言ではないだろう。
今回は、彼らに今作『THIS IS US』の魅力のお話を中心に、アルバム制作秘話やレコーディングの際の思い出、バンドとしての現在地についてなど、ときどき高宮永徹氏も参加して、語っていただいた。

バンドONEGRAMとは
─まずは、ONEGRAM(ワングラム)というバンド名の由来を教えてください?
yath:最初のメンバーが、僕とギターのBr’z(ブレイズ)、そして現在は辞めてしまったベースの3人で、レゲエをテーマにしたバンドを始めたんです。まだヴォーカルのSakkoちゃんが加入する前だったから、インストでライブをやろうとして、その時に作った曲が「ONEGRAM(ワングラム)」という曲名、、、重さの1gですね。”1gだけれど、でもそれだけじゃない!”という意味だったのですが、「コレ、バンド名でもいいんじゃない?」みたいな感で、それでバンド名になりました。名前を決めたメンバーはもういないんですけれどね(笑)。
─バンドのコンセプトが最初からレゲエだったんですね。
yath:はい!最初からレゲエをやろうと、渋谷のマクドナルドで話しましたね(笑)。
─現在のメンバーの繋がりについて教えてください。
yath:元メンバーのベーシストと僕がもともと知り合いで別のバンドでもやっていたのですが、ギターのBr’zも地元がおなじ宮城県で、むかし別のバンドを一緒にやっていたりもして仲がよかったんです。
ヴォーカルのsakko(サッコ)ちゃんは、インストでライブをやった時に「やっぱりボーカルが欲しいよね」という話になって。。。
Br’z:それで僕がSISTER KAYA(シスター カヤ)さんに相談して、紹介してもらったのが彼女でした。
yath:それが2011年です。

─もう14年前の話なんですね。
yath:ドラムのPuptyは、レゲエのサックスプレーヤー、芝井直実さんのバンドThe Time Steppersでドラムを叩いていたのですが、「良いレゲエのドラムを叩くなぁ」と思って声を掛けたのがきっかけです。
ベースのyabuくんは、僕がバンデラスというサルサバンドのメンバーだった時に彼もメンバーで、そこで声を掛けました。最初はサポートでやってもらったのですが、とても良かったので正式メンバーとして入ってもらいました。
─鴨居くんはずっとサポートメンバーですよね。
yath:はい。もともとHEY-SMITHのトランペッターのイイカワケンがメンバーでいたのですが、彼が脱退してしまい、、、でも彼のつながりで鴨居くんが加わったという感じです。
鴨居:イイカワとは付き合いが長くて、彼に言われて加入しました。
yath:レギュラーサポートというか、もうメンバーに近い感じで、ずっとやってもらっています(笑)。
─そこから活動を徐々にはじめていったワケですが、最初はどんな感じで進んでいったのでしょう。
yath:当時、僕とBr’zは六本木のバーというか、クラブというか、、、DJも入るような場所で働いていたんです。その時に、DJの石塚チカシさんと知り合って、その辺りからライブがすこし広がっていった感じでした。
─それはどのように広がったのでしょうか?
yath:4曲入りのデモCDRをチカシさんに渡したら気に入ってくださったんです。それで、当時西麻布にあった「新世界」というライブスペースで、長谷川賢司さんが店長をされていて、繋いでくださったんですね。それで『GRAM JAMMIN’』 というライブイベントをやるようになったんです。それまではたまにライブをやる程度でしたが、それである程度定期的にライブをやるようになりました。
─なるほど。
yath:そこから少しずつお客さんも増えて、なんとなくバンドとしての実感が出はじめてきたところでしたが、なかなかその状況も続かず。そして、第1期の「どうしようか?」期がきたんですね。
でも、ご縁があって、そこから音源リリースのお話をいただいて。。。
─どのような流れでリリースされたのでしょうか?
sakko:一番最初は、石塚チカシさん繋がりで、マンハッタンレコードのレーベル「ROOM FULL OF RECORDS」から、10インチレコードの『1st DEMO』を出させていただきました。最初のデモCDの音源で「Hope Of Life」が収録されているレコードでした。

yath:それが初めてのリリースです。そのあとに自主で一枚CDアルバムをリリースして、その後、「MACONDO」というレーベルからミニアルバムを作りました。そこから黄色い7インチ・シリーズが出て、そして『en』というEP、「HMV Record Shop」のレーベルからシングルを1枚、さらにフルアルバムの『Glowing』。そうやって広がっていきましたね。
─個人的には、黄色いジャケットの7インチレコードが一番最初にONEGRAMを認識した盤ですね。
yath:ありがとうございます!で、、、リリースが一旦落ち着いたときに、第2期の「どうしようか?」期が来たんです。
─それはどんな「どうしようか?」だったのですか?
yath:「MACONDO」レーベルでリリースしていた辺りから、渋谷のクラブBallでイベントを始めたのですが、集客もなかなか厳しくなり。それで「俺らこれからどうしようかな?」と。
─そこから、どういった経緯で「Flower Records」からリリースすることになったのでしょう。
yath:それはチカシさんから「これやってみない?」とカヴァーを2曲提示されたんです。うち一曲が「Crazy Love」でした。
─それでそのままリリースに至った?
yath:いえ!わりとリリースするまでが大変で。。。じつは最初、「Crazy Love」をバンドだけでカヴァーアレンジしてみたのですが、その時はいまいちうまくいかず、、、お蔵入りになったんですね。ただ僕はどうしてもやりたくて。しばらく経ってから再度納得できるようなデモをつくって、高宮(永徹)さんにデモを渡したのがきっかけです。
高宮永徹(以下、高宮):僕の記憶だと、、、2017年にとあるイベントで(石塚)チカシくんと久しぶりに一緒になったんだけれど、そこで彼からONEGRAMの「Crazy Love」のカヴァーの話を聞かせてもらったんです。「それは面白そうだね!」と個人的に楽しみにしていたのですが、そこから音沙汰なく、しばらく経ってしまって。。。ちょうどBallの周年のパーティーのときにsakkoと久しぶりに会えたので、「あの話ってどうなったの?」って聞いたら「止まってます!」って。それでチカシくんに連絡を取って「進めていい?」って聞いたら「どうぞどうぞ!」と(笑)。ちょうどyathくんからもデモ音源が送られてきて、それで動きはじめた感じでした。
─タイミングが良かったんですね。
yath:それがなかったら、本当に「どうしようかな?」ってなってました(笑)。
鴨居:2年くらい温めてたよね。

yath:高宮さんにデモを渡したときに、「ちょっとだけテンポを落としてもいいかもね!」と提案していただいて、それで「やりましょう!」と。そこから「Flower Records」時代がはじまるという感じですね。
─「Flower Records」の高宮さんとの繋がりはいつ頃からなんですか?
yath:2017年くらいに、青梅線の中神駅にあった「ジャズドロップ」というお店で、「PICNIC(ピクニック)」というサンデー アフタヌーンパーティがあって、そこでPuptyとsakko、Br’zの4人でアコースティックライブをやったんです。その時に初めてお会いしました。
高宮:7インチは既にもらっていたんだけれど、ライブはそれが初めてでしたね。
─そこから「Flower Records」でのリリースを重ねていくわけですが、2025年6月4日にフルアルバム『THIS IS US』をリリースしますね。内容は、オリジナル曲中心のカヴァー2曲の10曲収録ということで、本作はどんなコンセプトで制作が進んでいったのでしょうか?
yath:コンセプトは、、、ないんです(笑)。レコーディングにも2年以上費やして、タイトルもsakkoちゃんが後からつけたくらい。
鴨居:全部を詰め込んだというか、全力を詰め込みましたね(笑)。
高宮:実はもっと沢山録っているんですけれど(笑)。
鴨居:お蔵入りもけっこうあって。
Pupty:でも、今までは作った曲をすべて入れてというやり方でしたが、こういう風に突き詰めたのは初めてでした。yathさんが最初に言っていたのは、「今回はとにかく曲を沢山作って、その中から良い楽曲を厳選したアルバムをつくろう!」と。そういうコンセプトでしたね。

yath:2022年にリリースした『Random Access Music』はカヴァーアルバムで、高宮さんとプロデューサーのROCK-Teeさんとで作って、それがけっこう反応が良かったんですね。
それを受けて「どう今回に落とし込みつつ、どうオリジナル曲を作っていくか?」みたいな部分はけっこう考えました。とにかく、オリジナル曲を録り続けていくという形で進めたのですが、フタを開けてみたら2年くらい掛かったみたいな感じです。
sakko:少しずつ進めていったんですけど、けっこうな数の曲を録りました。
─実際にどのくらいの曲数を録られたのでしょう。
yath:20曲くらいかな。
sakko:制作の段階からだったらもっとあるよ。ボツがけっこうあったから。
yath:録ったのは20曲近くですが、ボツを入れたら30-40曲くらい(笑)。
─今作ではそこから10曲を選んだわけですが、その選び方は?
yath:高宮さんとメンバーみんなの意見を聞きつつ決めました。でも最初、高宮さんからは9曲と提案されていたんですね。曲順は高宮さんにお願いしたのですが、DJ的な流れを考えた時に「この曲もあった方がいい」という意見があったり。そうやって決めていきました。
sakko:あとはLP化を考えていたこともあって。レコードの片面に収録できる分数の問題もありましたね。
─『THIS IS US』というタイトル、日本語にすると「これが私たち」という意味ですが、このタイトルにした由来は?
sakko:私たち、もう14年くらいバンドをやってきて、いろいろ回り道じゃないですがここまでできて、歳も重ねて、忙しくなってきて、それでも自分たちらしくやっているなって。曲自体もむかし書いた曲と今書いた曲ではぜんぜん違うと思いますし、そういう部分が出ているかなとも思うんですね。だから、そのままの自分たち、みたいな。14年間、みんなでやってきて、飾らずというか、いまの私たちの姿がこれです!みたいな。その言葉にスパンとくるものがあったんです。ただ、私の中でも「THIS IS US」なのか、「THIS IS NOW」なのかは迷いましたけど。
高宮:そこは早かったね。
─タイトルをメンバー内で共有したとき、みなさんの意見は?
yath:「いいんじゃない?」って(笑)。
Br’z:「これです!」みたいな感じでしたので、「おー、そーかそーか!」みたいな(笑)。

鴨居:とくに共有もなかったよね(笑)。
yath:そうね(笑)。
sakko:前アルバムのタイトルのときは、3つくらい案を出したんですけれど、今回は「これで決まりました!」だったと思います(笑)。
yabu:でも、それで納得できたというか、しっくりきたので特になにも文句はありませんという感じで、受け入れました。

yath:メンバーの人数が多いから、細々としたことを決めるときは、高宮さんとsakkoちゃんとか、高宮さんと僕で決めて、メンバーには「こう決まったよ!」という報告をしている感じなんです。
Br’z:その方が早いからね。
yath:みんなの意見を聞きすぎるとまとまらないので(笑)。
(その2につづく)
(インタビュー:カネコヒデシ(BonVoyage))
取材協力: OFFBEATS STUDIO

渾身のニュー・アルバム「THIS IS US」をリリースするONEGRAMが、2025年7月18日(金)に下北沢LIVEHAUSにて発売記念ライヴ・イベントを開催します。アルバムに収録された楽曲を余す所なく披露する貴重なライヴです。DJにCHINTAM、DJ WATARAI、ナツ・サマー、ROCK-TeeとONEGRAMにゆかりのある豪華DJ陣も出演し、イベントを盛り上げます。
是非ともLIVEHAUSへお越しください。

ONEGRAM “THIS IS US” Release Party
Live :
ONEGRAM
DJ :
CHINTAM, DJ WATARAI, ナツ・サマー, ROCK-Tee
(A→Z)
Date : 2025.07.18 (Fri)
Open : 19:00 / Live : 20:00
Venue : LIVEHAUS (下北沢)
ご予約: 3,000yen (Drink別)
当日: 4,000yen (Drink別)
通常価格4,000円のところ、前売りチケットですと3,000円(ドリンク代別)にてご観覧いただけます。前売りチケットご購入の方は下記のリンクボタンよりお進みください。(クレジットカード、コンビニ決済に対応しております)
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